走り書きな人生

オタクの気まぐれブログ。

【Nの本棚】海の底/有川 浩

 

 

ついに自衛隊三部作に手を出した。

 

 

 

 

これまで、有川先生の作品は「図書館戦争シリーズ」「レインツリーの国」「三匹のおっさん」しか読んでこなかったが、図書館戦争に再熱した勢いで他の作品も気になった。まず、私はバッドエンドは苦手なたちなので、気になる作品は事前にネタバレを軽く仕入れることにしている。そこで気になったのが「クジラの彼」。もともと図書館戦争のようなベタ甘な話が好きであり、そんな人におすすめされていた作品だった。

どうやら「クジラの彼」には有川先生の作品である「空の中」と「海の底」のスピンオフ作品が含まれているらしいことが分かり、そして、なんと、「海の底」には図書館戦争の堂上と小牧のような人物たちが主人公であるというのだからこれは読まないといけない!!!

 

・・・という謎の使命感に駆られ、『海の底』を読み始めた次第である。

 

 

 

 

『海の底』

 

海の底 (角川文庫)

 ~あらすじ~(「BOOK」データベースより)

4月。桜祭りで開放された米軍横須賀基地。停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、喧噪は悲鳴に変わっていた。巨大な赤い甲殻類の大群が基地を闊歩し、次々に人を「食べている!」自衛官は救出した子供たちと潜水艦へ立てこもるが、彼らはなぜか「歪んでいた」。一方、警察と自衛隊、米軍の駆け引きの中、機動隊は凄絶な戦いを強いられていく―ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント。

 

 

(架空の)生物レガリスにより人間が襲われ、2名の自衛官と13名の子供たちが立てこもった潜水艦の”中”と、警察と自衛隊が奴らと闘う”外”での物語・・・

 

 

恐らく、あらすじだけ読めば自分から手に取ることのない作品であったと思う。それでもあっという間に読んでしまうほど、満足する内容であった。

やはり読むきっかけでもあった主人公二人。潜水艦きりしおの乗組員でもある海上自衛隊の夏木大和三尉と冬原春臣三尉・・・よい!とてもよかった!優秀であるが問題児でもあるという二人揃っての曲者具合。自衛官という職なだけに、どうしてもお堅くて生真面目なイメージがあったのだが、いい意味で覆された。私は好き。もちろん実際の自衛官は分からないが…

 

 

 

ガリスの襲撃から逃げている最中、艦長・夏木・冬原で子供たちを助け、潜水艦に逃げ込むが艦長がレガリスの犠牲となってしまう。夏木と冬原は、子供たちと潜水艦に立てこもり救助されるまでの間共に過ごさなくてはならないのだが、尊敬する艦長を”子供たちを助けたことにより失ってしまった”二人の心の葛藤や、その時の緊迫した状況がよく描かれていて私も実際にその場にいたのではないか、という錯覚に陥った。

 

 

 

その後の潜水艦での生活は、子供たち自身や家庭環境の問題に二人が直面するが、最後はすっきりして読み終えることができた。 レガリスと闘いながら国とも闘う、警察と自衛官のおじさんたちもとてもかっこいいのだが、私は潜水艦の中が気になってページをめくる手を止められなかった。ミーハーでスミマセン…

夏木と冬原、そして子供たちに警察や自衛官…それぞれの立場が分かりやすく描かれており、何が問題なのかどんな状況なのか特別知識がない私でも理解しながら読むことができた。

 

 

 

最後に「海の底 前夜祭」として、冒頭に繋がる夏木と冬原の問題児姿をみることができたのもうれしかったし、周りを巻き込んで生真面目にアホな問題を起こす二人がどれだけ破天荒であるかが分かって面白かった。それから時が経ったであろう現在の二人を勝手に思い描いたりもした。

 

 

 

『海の底』を読み終え、すぐに「クジラの彼」のスピンオフ作品を読んだが、夏木と冬原の恋愛がそこにあってとってもよかった。キュンキュンニヤニヤした・・・それはそれで本棚の更新をしたいと思う。「空の中」とそのスピンオフ作品を読んでから。

 

 

あ、最後に!

夏木と冬原がお互いを、”冬” ”夏” と呼び合うのがすごくツボでした。

くっ・・・有川さん分かっておられる・・・

 

 

おわり。